石垣島・八重山の陸の危険生物ガイド|サキシマハブ・毒毛虫・蚊への備えと咬まれたときの手当て

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八重山の海で気をつけたい生きものは別の記事にまとめました。この記事はその陸版です。石垣島や西表島、竹富島にはサキシマハブという毒ヘビがいて、沖縄県の統計では石垣市と竹富町で年に十数件の咬症が起きています。ほかにも毒針毛をもつ毛虫、6月に攻撃的になるハチ、デング熱を運ぶ蚊、夜の道に出てくるオオヒキガエル。沖縄県と環境省の公式資料をもとに、それぞれの「どこで・いつ・どう避けるか」と、もしものときの手当てを整理します。怖がらせるためではなく、知っていれば避けられることばかりです。

八重山にいる毒ヘビは「サキシマハブ」

沖縄県によると、県内に生息する毒ヘビで危険なものはハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、タイワンハブの4種類です。このうち八重山にいるのはサキシマハブ。県の一覧で「サキシマハブのいる島」として挙げられているのは石垣島、西表島、外離島、内離島、小浜島、竹富島、黒島、嘉弥真島(それに外来種として定着した沖縄本島)です。与那国島は「ハブのいない島」の例として名前が挙がっており、波照間島や鳩間島はこの一覧に入っていません。

県の説明では、サキシマハブは「茶の地に黒いギザギザ模様」で、最大級の全長は120cm。沖縄本島のハブ(最大2m)より小さいヘビです。「もともとは八重山にいるヘビ」と書かれているとおり、八重山では昔からいる在来の生きものです。

行動の特徴は本島のハブと共通です。県の資料から要点を引きます。

  • 夜行性で、日中は穴などに隠れている。冬眠はしない(県内のヘビはすべて冬眠しない)
  • 「山や野原、畑、公園など、草や木のある所ならどこにでもいる可能性があります」
  • 「昼間は開けた所に出てくることはめったにありませんが、草むらや木の上、林の中など、日当たりの悪い所では気をつけましょう」
  • 木登りをよくする。餌はほとんどネズミ
  • ジャンプはできない。攻撃できるのは全長の3分の2の範囲。「1.5メートル以上離れていれば攻撃範囲外です」

旅行者の行動に置き換えると、注意する場面は限られます。夜に集落や畑のそばの道を歩くとき、林道やジャングルのトレッキング、草むらに分け入るとき。逆に、舗装された市街地や日中のビーチで出会う確率は高くありません。

西表島の沢と岩場
西表島の沢筋。沖縄県は「草むらや木の上、林の中など、日当たりの悪い所」での注意を呼びかけています

数字で見る|八重山の咬症は年に十数件、死亡はゼロ

沖縄県が公表している「直近10年間(2016〜2025年)のハブ類咬症被害発生状況」によると、県全体のハブ類による咬症は10年間で528件、死亡は0。このうちサキシマハブによるものは121件。内訳は石垣市57件、竹富町54件、外来種として定着している沖縄本島で9件、場所不明が1件です。八重山(石垣市と竹富町)だけで10年間に111件ですから、年平均で約11件です。2025年は石垣市2件、竹富町6件でした。

県は「2000年以降、ハブの咬傷被害により亡くなる方はいません」としています。ただし「1か月ほど入院する重症例」が年に数件あり、咬まれたあとに後遺症が残る場合があることも明記されています。咬まれるのは「ほとんどの方が、手・足の先」。同じ資料には「畑で咬まれることが多く、また屋内や屋敷内で咬まれることもあります」とあります。旅行者なら、草むらや石積みに手足を入れる動作に特に気をつけたいところです。

項目 沖縄県の公表値
県全体のハブ類咬症(2016〜2025年) 528件・死亡0
うちサキシマハブ 121件・死亡0(石垣市57・竹富町54・沖縄本島9・不明1)
サキシマハブ 市町村別 石垣市57件・竹富町54件(2025年は石垣市2件・竹富町6件)
咬まれる部位 ほとんどが手・足の先
県の注意喚起 5・6月「ハブ咬症注意報」/2026年は9月1日〜11月30日「ハブ咬症防止運動」
沖縄県「ハブについて」「6.ハブの被害」「直近10年間のハブ類咬症被害発生状況(市町村別)」より

ハブを避ける歩き方と、見かけたときの動き

県の呼びかけを旅行者向けに言い換えると、次の3つです。

  1. 草むらや林に入るときは用心する。夜の散歩は舗装路を選び、足元を懐中電灯で照らす(星空観測に出るなら石垣島の星空ガイドの持ち物も参考に)
  2. 石積みや穴に手を入れない。県はハブ対策として「石積みなどの穴をセメントで埋める」を挙げており、集落の石垣(グック)の隙間はハブの隠れ場所になりえます。竹富島や黒島の集落で、石垣に腰かけたり手をかけたりするのは避けましょう
  3. 見かけたら1.5m以上離れる。県の案内は「離れることが可能な場合は、1.5メートル以上距離を置きましょう」。追い払おうとしないこと。宿の敷地などで捕獲してほしいときは市町村のハブ対策担当課へ、身の危険を感じる緊急時は110番です

西表島のジャングルでは、そもそもガイド同行が必要な場所が多くあります。ガイドはヘビの出やすい場所を知っていますから、指示に従うのがいちばんの安全策です。石垣島で野生生物を観察する動画でも、案内役が「このあたりはハブが出るから気をつけて」と繰り返す場面があり、地元の人にとっては日常の注意事項だと分かります。

黒島の集落と石垣
黒島の集落。石積みの隙間はヘビの隠れ場所になりえるので、手をかけたり腰かけたりしないように

もし咬まれたら|沖縄県の手順と八重山の受診先

沖縄県「もし咬まれたら」の手順です。順番どおりに動いてください。

  1. あわてずに、ハブかどうか確かめる。「ヘビの種類が分からなくても、ハブなら牙のあとが普通2本(1本あるいは3,4本の時も)あり、数分で腫れてきてすごく痛みます」
  2. 大声で助けを呼び、すぐに医療機関へ。「走ると毒の回りが早くなるので、車で病院に運んでもらうか、ゆっくり歩いて行くようにしましょう」
  3. 病院まで時間がかかる場合だけ、「包帯やネクタイなど、帯状の幅の広い布で、指が一本通る程度にゆるく縛ります」。「決して細いヒモなどで強く縛ってはいけません」。県の別のページでは「15分に1回はゆるめましょう」とも書かれています
  4. 「痛みや気分を紛らわせるために鎮痛剤やお酒を飲んではいけません」

治療にはハブ抗毒素を使います。県が公表している「はぶ抗毒素常備医療機関」のうち八重山保健所管内は次の3か所です(2025年8月20日現在)。

医療機関 所在地 電話
県立八重山病院 石垣市真栄里584-1 0980-87-5557
県立八重山病院附属西表西部診療所 竹富町字西表694 0980-85-6268
県立八重山病院附属小浜診療所 竹富町字小浜30 0980-85-3247
沖縄県「はぶ抗毒素常備医療機関リスト(令和7年8月20日現在)」より。石垣島では県立八重山病院が急患を24時間受け付けています

竹富島や黒島には抗毒素の常備機関がありません。離島で土日祝や夜間に受診が必要になったときは、まず119番に連絡するのが県立八重山病院の案内です(竹富町の公式サイトからも同じ案内に誘導されています)。各診療所の受付時間や離島でのかかり方は石垣島・八重山で具合が悪くなったらにまとめています。

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ヘビ以外に知っておきたい4つ

①タイワンキドクガ(毒毛虫)|春に石垣島で大量発生の記録

沖縄県衛生環境研究所によると、毒蛾皮膚炎を起こすタイワンキドクガの幼虫は2005年に石垣市などで発生が確認され、「石垣市でタイワンキドクガが大量に発生していると報道」されました。幼虫は大きくなっても2cm程度で、背中のオレンジ色の線と黒いコブが特徴。クワディーサー(モモタマナ)の葉で多く見られます。体表の目に見えない毒針毛が皮膚につくとかゆみと紅斑が出ます。2004年4月には修学旅行で沖縄本島の海岸を訪れた高校生ら172人のうち76人が発症した例もあります。

対処は「絶対に掻かないでください」。粘着テープを患部に貼ったりはがしたりして毒針毛を取り除き、石鹸でよく洗い流す。軽ければ市販の抗ヒスタミン軟膏、ひどければ皮膚科へ。木の下で休むときは、幹や葉に毛虫がいないか一度見てからにしましょう。

②ハチ|6月が「集団で攻撃する」危険な時期

同研究所のハチのページには、アシナガバチは6月に働きバチが出現して「この頃からハチは巣を守るために集団で攻撃するから大変危険な時期である」とあります。9月以降は巣のまわりに残っていても集団で攻撃することはない、とも。初夏の林道や東屋の軒下で巣を見つけたら、近づかず引き返してください。巣の駆除は自治体か専門業者に任せるのが県の案内です。

③蚊|デング熱を運ぶヒトスジシマカ

沖縄県の蚊媒介感染症のページによると、デング熱は「デングウイルスに感染したネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染」し、「ヒトからヒトに感染することはありません」。日本では2014年に国内感染例が報告されています。症状は「発熱で発症し、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹」。ワクチンはなく、予防は刺されないことに尽きます。県の呼びかけは「長袖・長ズボンを着用し、できるだけ肌を露出しない、裸足でサンダルを履かないようにしましょう」と「虫よけ剤(忌避剤)を使用する」。足首・首筋・手の甲のような小さな露出面も刺されやすいので注意が必要です。マングローブ林や夕暮れの林道では、虫よけと長袖が基本装備です。かつて西表島がマラリアに苦しんだ歴史は由布島の記事に書きました。

④オオヒキガエル|夜の街灯の下にいる大きなカエル

環境省沖縄奄美自然環境事務所によると、オオヒキガエルは「石垣島へは昭和53(1978)年に南大東から持ち込まれました。現在では石垣島の全域でよく見られます」。全長8〜15cmで、目の後ろのコブ(耳腺)が目立ち、「夜間には街灯等の光に集まる虫を捕食するために明るい場所に出没します」。この耳腺は「強く刺激すると毒液を出す場合があります」ので、素手で触らないこと。環境省は石垣島以外の離島への侵入と定着を警戒し、2023年には小浜島で初めて目撃されて通報が呼びかけられました。見つけても持ち運ばず、そのままにしてください。

持ち物と装備|これだけで大半は防げる

  • 夜と林道は長袖・長ズボン・かかとのある靴。蚊・毛虫・ヘビの3つに同時に効きます
  • 虫よけ剤(県が推奨)と懐中電灯(夜道の足元確認)
  • 草むらや石積みに手足を入れない。木陰で休む前に幹と葉を見る
  • 咬まれたら走らない・強く縛らない・お酒を飲まない。県立八重山病院 0980-87-5557をスマホに入れておく

装備の全体像は石垣島の持ち物リストにあります。

まとめ

八重山の毒ヘビはサキシマハブで、石垣島・西表島・小浜島・竹富島・黒島などにいます。夜行性で、草むらや林の中など日当たりの悪い場所が要注意。県の統計では石垣市と竹富町で10年間に111件の咬症があり、死亡はゼロです。咬まれたら走らず、強く縛らず、車で県立八重山病院か西表西部・小浜の診療所へ。毒毛虫は掻かずに粘着テープ、ハチは6月に近づかない、蚊は長袖と虫よけ、オオヒキガエルは触らない。長袖・長ズボン・靴・虫よけ・懐中電灯の5点があれば、陸の心配事の大半は消えます。

参考・出典(公式サイト)

※ 統計は沖縄県の公表時点の値です。医療機関の体制や連絡先は変更される場合がありますので、おでかけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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