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石垣島や八重山の海は、同じビーチでも朝と昼でまったく別の場所に見えます。理由は潮の満ち引きです。幻の島は干潮の時間帯に砂浜が広がり、リーフの内側のビーチは潮が引きすぎると浅くて泳ぎにくくなります。旅行の日程が決まったら、気象庁の潮位表で満潮・干潮の時刻を見ておくだけで、その日をどう使うかが決められます。この記事では、潮位表の読み方、干潮と満潮それぞれに向いた過ごし方、潮にまつわる安全面までを公式の一次情報で整理しました。
潮の満ち引きは1日2回、時刻は毎日少しずつ遅れる
気象庁の解説によると、海面の水位(潮位)は約半日の周期でゆっくり上下しており、この現象を潮汐(ちょうせき)といいます。潮位が上がりきった状態が満潮、下がりきった状態が干潮で、地球は1日に1回自転するため、多くの場所では1日に2回の満潮と干潮を迎えます。
旅行者がいちばん覚えておきたいのは次の1点です。月が地球のまわりを約1か月かけて公転しているため、満潮と干潮の時刻は毎日少しずつ遅れていきます。気象庁は目安として「毎日約50分ずつ遅れる」と説明しており、実際のずれ幅は日によっても、その日の何回目の満潮かによっても変わります。後述する2026年9月の石垣の潮位表でも、朝の満潮は9月10日の6時12分から9月13日の8時17分へと、3日で約2時間動いています。つまり「昨日は昼に潮が引いていたから今日も同じ」は通用しません。
さらに、同じ日の2回の干潮でも潮位はそろいません。気象庁はこれを日潮不等と呼んでいて、極端になると1日に1回しか満潮・干潮が現れない日もあります。
気象庁「潮位表」の見方|石垣の数字は何を表しているか
八重山で潮を調べるときは、気象庁の潮位表で地点「石垣(ISHIGAKI)」を選びます。観測地点は沖縄県石垣市八島町2丁目、石垣市街地の海沿いです。読むときのポイントは3つあります。
1. 数字は「潮位表基準面」からの高さ
表に並ぶcmの値は、海面の絶対的な高さではなく、その地点ごとに決められた潮位表基準面からの高さです。気象庁の用語集では、潮位表基準面は「大潮の平均的な干潮面の高さ(海図の水深0mにほぼ相当)」を基準にしていると説明されています。石垣の潮位表基準面の標高は−90.1cmで、潮位表のページ上部に記載されています。
2. 載っているのは予測値(天文潮位)
気象庁は潮位表について「過去に観測された潮位データの解析をもとにして計算した潮位の予測値(天文潮位)をまとめた資料」であり、「気象などの様々な要因を受けることで実際に観測される値(実測潮位)とは異なりますので注意して下さい」と明記しています。台風や強い南風の日は、表の数字どおりにならないことがあるという意味です。
3. 表示できるのは最大5週間先まで
潮位表の表示期間は最大5週間です。旅行の1か月前くらいから、行きたい日の潮が見られるようになります。
| 日付(2026年9月・石垣) | 満潮 | 干潮 | その日の潮位差 |
|---|---|---|---|
| 9月10日 | 6:12(205cm)/19:05(182cm) | 0:18(88cm)/12:55(33cm) | 172cm |
| 9月13日 | 8:17(196cm)/20:24(191cm) | 2:13(53cm)/14:28(59cm) | 143cm |
| 9月20日 | 17:16(131cm) | 8:46(79cm)/19:50(130cm) | 52cm |
気象庁の潮位表(石垣)から、2026年9月のうち潮位差が最も大きい日・中くらいの日・最も小さい日を抜き出したものです。潮位は潮位表基準面からの高さ、いずれも予測値(天文潮位)です。
大潮と小潮|同じ「干潮」でも下がり方が3倍違う
上の表を見ると、9月10日は潮位差が172cmあるのに、9月20日は52cmしかありません。同じ月のなかで3倍以上の開きがあります。
これが大潮と小潮の差です。気象庁の解説では、月と太陽が直線上に重なって起潮力の方向がそろうと満潮と干潮の潮位差が大きくなり、この時期を大潮、月と太陽が直角方向にずれて力を打ち消し合う時期を小潮と呼びます。目安として「新月と満月の頃には大潮、上弦の月と下弦の月の頃には小潮」になります。気象庁によれば大潮と小潮は「新月から次の新月までの間にほぼ2回ずつ」現れ、その周期(朔から次の朔まで)はおよそ29.5日です。
旅行者にとっての意味はシンプルです。大潮の日は海の表情が大きく変わり、小潮の日はあまり変わりません。幻の島のように潮が引くほど砂浜が広がる場所を狙うなら大潮寄りの日、逆に「いつ行っても水がある」ほうが都合のいい遊びなら小潮でも困りません。
干潮に向く遊び、満潮に向く遊び
石垣島北部・東海岸でシュノーケリングツアーを行っている現地事業者が、同じビーチを朝の満潮・昼の中間・午後の干潮と3回撮り比べた動画を公開しています。現地ガイドの解説によると、満潮のときは胸の深さがあった場所が干潮には膝の深さになり、波打ち際は4〜5mほど沖へ後退、満潮時に完全に水没していた岩の頭が出てくるとのこと。同じ場所とは思えないほど変わります。
そのうえでガイドが挙げている使い分けは、しっかり泳いでシュノーケリングを楽しみたいなら満潮の時間帯、小さな子どもと潮だまりを覗く程度なら干潮の時間帯というもの。干潮に当たると「泳ぎたくても浅すぎて泳げない」日もあるため、海に入る予定があるなら先に潮を調べておくべきだと繰り返し述べられています。
写真目的でも同じです。石垣島のビーチを案内する別の現地ガイドの動画では、干潮の時間は海の中から岩やサンゴが顔を出してしまうため、海と砂浜の色のコントラストを撮りたいなら満潮に近い時間がよい、と紹介されています。

潮で表情が変わる八重山のスポット
幻の島(浜島)
石垣島から船で渡る無人の砂洲で、潮の干満によって姿を現したり水没したりします。定期船の航路がないためツアーでの上陸になり、出発時刻は事業者がその日の干潮に合わせて決めます。集合時間が日によって朝だったり昼だったりするのはそのためです。詳しくは幻の島(浜島)上陸ツアーガイドにまとめています。
竹富島 カイジ浜(星砂の浜)
星の砂で知られる浜です。竹富町観光協会は「星砂は岩場沿いの砂に手のひらを押し当てて探すと見つかります」と案内する一方、「潮の流れが速いため、遊泳注意です」と明記しています。泳ぐ浜ではなく、砂を探しながら散歩する浜だと考えてください。島の回り方は竹富島 日帰りモデルコースが参考になります。
名蔵アンパル(河口干潟)
石垣島西部、名蔵川の河口に広がる干潟とマングローブ林です。環境省によると2005年11月8日にラムサール条約湿地に登録され、面積は157ha。国指定名蔵アンパル鳥獣保護区の特別保護地区であり、西表石垣国立公園の特別地域でもあります。潮が引くと干潟が広がって鳥やカニが観察しやすくなりますが、生きものを採ったり持ち帰ったりできる場所ではありません。遊歩道や道路沿いから眺めるのが基本です。海や集落でのふるまい方は八重山でやってはいけないことにまとめています。

潮を旅程に組み込む3ステップ
①日程が決まったら潮位表で「石垣」を開く。最大5週間先まで表示できるので、出発の1か月前が目安です。②海に入る予定の日は、満潮・干潮の時刻に合わせて時間帯を決める。泳ぐなら満潮寄り、潮だまりや砂遊びなら干潮寄りです。③幻の島のツアーは集合時刻が動く前提でスケジュールを組む。上陸できる時間が潮で決まるため、出発時刻は日によって朝にも昼にもなります。前後に船やレンタカーの予定を詰め込みすぎないほうが安全です。
船やレンタカーの時間と組み合わせる場合は、石垣島の移動ガイドもあわせて確認してください。
潮にまつわる安全|「歩いて行ける」は満ちてくる
環境省は国立公園の利用マナーとして、「海域の国立公園では、潮の干満時間や潮位、潮流などの海での注意事項を事前に確認をしましょう」と呼びかけ、その理由を「離岸流などの急な流れに巻き込まれる、満潮時に磯などに取り残されるといった事故を防ぐために、磯やリーフ、干潟、マングローブ林など海辺を観察するときは、事前に情報収集しましょう」と説明しています。八重山はまさにこの地形がそろった場所です。
干潮時に沖まで歩けたからといって、同じ道が帰り道に残っているとは限りません。潮は上げに転じると想像より速く広がります。竹富町観光協会も、リーフの切れ目に打ち込んだ波が外海へ強く流れるリーフカレントによる水難事故が発生しており、どのビーチでも起こりうると注意を促しています。石垣市も水難事故防止として「風が強いときは泳がない」「離岸流に注意」「酒を飲んで泳がない」を挙げています。
ビーチごとの遊泳可否や監視員の有無は石垣島の絶景ビーチ厳選に、海に入るときの装備は石垣島の持ち物リストにまとめています。
| やりたいこと | 向いている潮 | ひとこと |
|---|---|---|
| リーフの内側でシュノーケル | 満潮寄り | 干潮だと浅すぎて泳げない日がある |
| 小さな子どもと潮だまり観察 | 干潮寄り | 水深が浅く、生きものが取り残される |
| 幻の島の上陸 | 干潮寄り(ツアーが調整) | 集合時刻が日によって動く |
| 星砂探し(カイジ浜) | どちらでも可 | 潮の流れが速く遊泳注意 |
| 干潟の生きもの観察 | 干潮寄り | 採取はせず遊歩道から眺める |
| 海の色を撮る | 満潮寄り | 岩やサンゴが露出しにくい |
まとめ
八重山の海を計画するときは、気象庁の潮位表で「石垣」の満潮・干潮を見るだけで判断材料がそろいます。押さえるのは、満潮・干潮の時刻が毎日少しずつ遅れること(気象庁の目安は約50分)、大潮と小潮で潮位差が大きく変わること(2026年9月の石垣では3倍以上の開き)、載っているのは予測値であること。この3つです。泳ぐなら満潮寄り、潮だまりや干潟なら干潮寄り、幻の島はツアーが潮に合わせて動く——この対応関係が分かっていれば、限られた日程でも海のいちばんいい時間に当てられます。潮位や運航は当日の天候で変わるため、出発前に各公式サイトで最新の情報を確認してください。
参考・出典(公式サイト)
- 気象庁 潮位表(石垣):https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php?stn=IS
- 気象庁 潮位表 解説:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/explanation.html
- 気象庁 潮汐の仕組み:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/choseki.html
- 気象庁 潮汐・海面水位の知識 用語集:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/yougo.html
- 環境省 国立公園の利用上のマナー:https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/about/manner/
- 環境省 日本の条約湿地(名蔵アンパル):https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/RamsarSites_in_Japan.html
- 竹富町観光協会 島での心得:https://painusima.com/kokoroe/
- 竹富町観光協会(竹富島)カイジ浜:https://painusima.com/2135/
- 石垣市 安全にマリンレジャーを楽しむために:https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/kanko_bunka/tourist_information/marineleisure_safety.html
※ 潮位は予測値であり、気象条件により実際の潮位は変わります。施設の運営やツアーの催行状況も変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください(最終確認:2026年9月)。
