八重山の星砂ガイド|正体は約2mmの生きもの・カイジ浜と西表島での探し方・持ち帰りの考え方

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白い砂浜へ続く小道と八重山ブルーの海

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八重山の浜で探す星砂(ホシズナ)は、鉱物ではありません。サンゴ礁の浅い海で暮らしていた生きものが残した殻です。この記事では、阿嘉島臨海研究所の研究者による解説と竹富町・竹富町観光協会・環境省の公式情報をもとに、星砂の正体、どこでどう探すのか、そして持ち帰りをどう考えればいいのかを整理します。

星砂の正体|大きさ約2mm、星形の殻をつくるアメーバの仲間

阿嘉島臨海研究所が発行する『みどりいし』(12号・2001年)に掲載された藤田和彦氏の解説「星砂の生物学」によると、星砂の正体はBaculogypsina sphaerulata(バキュロジプシナ・スファエルラータ)という原生動物有孔虫類の一種です。同解説には「砂粒サイズの殻をつくり、その外形が星の形をしていることから星砂(ホシズナ、英語ではStar Sand)と呼ばれている」と書かれています。大きさは約2mm。アメーバの仲間が、石灰質の殻を身にまとって暮らしている姿です。

生きているときの殻の中は原形質で満たされ、その中には珪藻が共生しています。同解説は、これがサンゴと褐虫藻の共生関係と同様で、栄養の少ない環境で効率よくエネルギーをやりとりしていると説明しています。つまり星砂は、サンゴと同じように「体の中に小さな畑を持つ」生き方をしている生きものです。

さらに独特なのが口の話です。有孔虫には口孔と呼ばれる外部との連絡口があるのが一般的ですが、ホシズナにはそれがありません。代わりに棘の先端が外部との唯一の連絡口になっていて、そこから偽足を伸び縮みさせて餌を採り、排泄もします。他の有孔虫は偽足で動き回りますが、ホシズナは棘の先から粘性物質を出して、一つの場所にとどまっていることが多いそうです。

項目 内容(『みどりいし』12号「星砂の生物学」より)
正体 原生動物有孔虫類の一種 Baculogypsina sphaerulata
大きさ 約2mm
体のしくみ 殻の中は原形質。珪藻が共生し光合成に依存
すみか 波当たりが強く干潮時に干出する礁嶺付近/水深5m以浅
寿命 約1.5年
分布 西太平洋の熱帯海域。日本ではほぼサンゴ礁の分布と一致
数値・記述はいずれも阿嘉島臨海研究所『みどりいし』12号(2001年)による

星砂は砂浜で生まれない|暮らしているのは沖の「礁嶺」

ここが星砂のいちばん面白いところです。星砂は砂浜で生きているわけではありません。同解説によると、ホシズナがたくさん棲んでいるのはサンゴ礁の中でも波当たりが強く、干潮時には干出する礁嶺(しょうれい)付近で、水深の分布は5mより浅い範囲に限られます。荒い波が当たり続ける、決して穏やかとはいえない場所です。

そこに生えている芝生状の海藻(turf algae)が、ホシズナにとって最適なすみかになります。実際、礁嶺の潮だまりの芝生状海藻に棲むホシズナの個体群密度は100cm²あたり4,000〜6,000個体に達すると報告されています。手のひらほどの面積に、数千の星が張り付いている計算です。

寿命は約1.5年。死んだあとに星形の石灰質の殻が残り、その砂粒が波に運ばれて海岸に届き、砂浜をつくります。砂浜で拾う星砂は、沖の礁嶺で一生を終えた個体の殻が、波に運ばれて届いたものということになります。

八重山の白い砂浜は、星砂でできている

サンゴ礁の海に伸びる白い砂洲と浅い海
サンゴ礁の海に伸びる白い砂洲。この砂の多くはサンゴや有孔虫の殻が砕けたもの

先の解説には「特に八重山諸島の竹富島や西表島の砂浜がホシズナの死骸で構成されていることは有名であるが、実は琉球列島であれば、どこの島の砂浜にも量の違いはあれ、ホシズナの殻を見つけることができる」と書かれています。つまり星砂は一部の「星砂の浜」だけの特産品ではなく、八重山の白さそのものの正体ということです。

その働きは砂浜づくりだけではありません。同解説によると、ホシズナの炭酸塩(無機炭素)生産力は700g(800,000個体)/m²/年と見積もられ、造礁サンゴや石灰藻に次ぐ生産力を持ちます。沖縄の海岸で見かけるビーチロックや粟石と呼ばれる石灰岩も、ホシズナなどの有孔虫の殻が主要な構成成分です。島の砂浜も、足元の岩も、もとをたどれば小さな生きものの仕事だということになります。

黒島の白い砂浜と遠浅の海
黒島の砂浜。有名な星砂の浜でなくても、八重山の白い砂には有孔虫の殻が混じっている

サンゴ礁そのもののしくみについては、石垣島と西表島の間に広がる海を扱った関連記事も参考にしてください。

探し方|手のひらを押し当てる。八重山の代表的な2つの浜

星砂探しで知られるのが、竹富島のカイジ浜(皆治浜)と、西表島西部の星砂の浜です。竹富町観光協会はカイジ浜について「岩場沿いの砂に手のひらを押し当てて探すと見つかります」と紹介しています。さらさらの砂をすくうのではなく、湿った砂に手のひらを押し付けて、張り付いた粒の中から星を探すのがコツです。

ただしカイジ浜は「潮の流れが速いため、遊泳注意です」と同協会が明記しています。泳ぐ浜ではなく、歩いて探す浜だと考えてください。一方、西表島西部の星砂の浜については「浜辺では星の砂を見つけることができるビーチ」で「海水浴やシュノーケリングも楽しめます」「波はおだやかです」と紹介されています。

浜 島 竹富町観光協会の記載
カイジ浜(皆治浜) 竹富島 岩場沿いの砂に手のひらを押し当てて探す/潮の流れが速いため遊泳注意
星砂の浜 西表島(西部) 星の砂を見つけられるビーチ/海水浴やシュノーケリングも楽しめる・波はおだやか
記載は竹富町観光協会の各スポットページによる

探す時間帯は、砂が湿っている引き潮のあとが有利です。潮位は毎日変わるので、浜に出る前に潮の時間を見ておくと空振りが減ります。

持ち帰りの考え方|「ひとつ見つける」と「砂を採る」は別の話

星砂について旅行者がいちばん迷うのが、持ち帰りの可否です。ここは掲示とルールを現地で確認するのが大前提になります。そのうえで、判断の材料になる事実を2つ挙げます。

1つは法律の枠組みです。環境省の案内によると、国立公園では特別地域や海域公園地区で鉱物や土石を採取する場合は許可が、普通地域では届出が必要な行為とされています(普通地域の海域については、海域公園地区周辺での行為に限られます)。八重山の島々の多くは西表石垣国立公園の区域に含まれます。袋や容器で浜の砂を採って持ち帰る行為は、この「土石の採取」にあたりうるということです。記念にひとつ星を見つけるのとは、意味がまったく違います。

もう1つは島の側の考え方です。竹富島では1986年に島民が定めた竹富島憲章が、島の景観と自然を「売らない・汚さない・乱さない・壊さない・生かす」の5原則で守ってきました。星砂も、浜の砂も、その「乱さない」の対象です。カイジ浜には星砂の瓶やキーホルダーを扱う売店(営業時間8:00〜17:00)があり、持ち帰りたい人の受け皿は用意されています。迷ったら、浜の砂ではなく売店の瓶を選ぶのが確実です。

浜で気をつけること|監視員のいない天然の海岸

竹富町は「竹富町内の各島の海岸は、そのほとんどが自然度の高い天然の海岸で遊泳監視員はいません。」と注意を呼びかけています。同町の案内には、潮の干満や風の方向によって潮の流れが発生すること、サンゴ礁の切れ目など突然深くなっているところがあることも明記されています。

あわせて、ひとりで泳がないこと、ライフジャケットやウエットスーツを着用すること、体調が悪いときは泳がないこと、そして「ビール・泡盛などのアルコールを摂取しての遊泳は大変危険です。絶対にやめてください。」と強い言葉で示されています。星砂探しは膝より浅い場所での作業ですが、浜そのものは監視員のいない自然の海岸です。子ども連れなら、必ず大人が並んでしゃがむようにしてください。

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まとめ

星砂の正体は、大きさ約2mmの有孔虫Baculogypsina sphaerulataが残した殻です。暮らしているのは砂浜ではなく、波当たりの強い沖の礁嶺。芝生状の海藻に100cm²あたり4,000〜6,000個体という密度で張り付き、約1.5年の一生を終えたあと、殻だけが波に運ばれて砂浜になります。八重山の白い浜は、その殻の集積です。

探すときは、岩場沿いの湿った砂に手のひらを押し当てる。カイジ浜は潮の流れが速いので歩いて探す浜、西表島西部の星砂の浜は波が穏やかで泳ぎも楽しめる浜、と役割が違います。そして砂を採って持ち帰るのは、星をひとつ見つけるのとは別の行為です。浜では星を探し、持ち帰るなら売店の瓶を。それが、次に来る人の浜も残す歩き方になります。

参考・出典(公式サイト)

※ 浜ごとのルール・売店の営業時間・遊泳の可否は変更される場合があります。現地の掲示と竹富町および竹富町観光協会の公式情報をご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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