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八重山の島々は、観光地である前に人が暮らしている場所です。竹富島の赤瓦集落は住民が今も生活している場所で、集落のなかには島民が代々守ってきた御嶽(うたき)があります。海に出ればサンゴ礁があり、西表島の道路にはイリオモテヤマネコが出てきます。知らずにやってしまうと迷惑になること、そもそもルールで決まっていることを、竹富町・石垣市・環境省などの公式情報から整理しました。行く前に一度目を通しておくと、現地で迷わずに済みます。
竹富島憲章|島のルールは住民が決めている
八重山のマナーを理解するうえで、いちばん分かりやすいのが竹富島憲章です。1986年(昭和61年)3月31日に竹富島住民の総意にもとづいて制定されたもので、保全優先の基本理念として次の5原則を掲げています。
『売らない』島の土地や家などを島外者に売ったり無秩序に貸したりしない。『汚さない』海や浜辺、集落等島全体を汚さない。また汚させない。『乱さない』集落内、道路、海岸等の美観を、広告、看板、その他のもので乱さない。『壊さない』由緒ある家や集落景観、美しい自然を壊さない。また壊させない。『生かす』伝統的祭事行事を、島民の精神的支柱として、民俗芸能、地場産業を生かし、島の振興を図る。
観光客向けの注意書きではなく、住民が自分たちの島を守るために作った憲章だという点が重要です。竹富島の赤瓦の集落や白砂の道が今も残っているのは、この取り決めが40年にわたって守られてきたからです。訪れる側も、その延長線上にいると考えると振る舞い方が決まります。
集落でやってはいけないこと
竹富町は、島で撮影する人向けの注意事項として「民家の敷地をのぞいたり、立入したりなどはしないようお願いします」と明記しています。竹富島の集落は塀が低くて庭が見えますが、そこは住民の生活空間です。写真を撮るために敷地へ一歩入る、門の内側をのぞく、といった行為は避けてください。同じく竹富町は、集落内でのマナーとして「騒がない、水着で歩かない、敷地に入らない等」を挙げています。
竹富町観光協会も「島での心得」で、「ビーチ(浜辺)以外では、水着姿や上半身『はだか』などでは歩かないでください」と案内しています。海から上がってそのままの格好で集落を歩くのは避けてください。竹富町は「海岸以外の場所で水着や露出の多い服装をしていると、島の人がびっくりします」という言い方もしています。
ゴミも持ち帰りが基本です。竹富町は「島には小規模の焼却炉しかなく、処理できるゴミが限られるため、可能な限りゴミになるものを持ち込まず、持ち込んだゴミは持ち帰るよう」求めています。環境省の西表野生生物保護センターも「ゴミ(食べ残し、ビニール袋、ペットボトル、空き缶、たばこなど)は必ず最後まで持ち帰りましょう」として、景観の保護に加えてごみの臭いが野生動物を引き寄せるのを防ぐためだと説明しています。
御嶽(うたき)とお墓には立ち入らない
これは八重山でいちばん間違えやすい一線です。竹富町観光協会は「八重山地方には、各集落やその周辺に御嶽(拝所)があります。神聖な場所なので、許可なく立ち入らないでください」と明記しています。竹富町も「島民にとって神聖な御嶽(うたき)や先祖が眠るお墓には立ち入らないようお願いします」としています。
御嶽は塀や鳥居のような目印がある場合もあれば、木立と石だけのこともあります。集落を歩いていて「入っていいのか分からない場所」に出たら、入らずに外から見るのが正解です。祭りやイベントに参加するときも、竹富町観光協会は「それぞれの島のルールに従ってください。祭りによっては写真撮影が禁止されている場合もあります」と案内しています。八重山の祭事は八重山のお祭り・イベントカレンダーにまとめています。
海|むやみに触らない、持ち帰らない
竹富町観光協会は「海のなかや海岸で、むやみに生物に触れたり持ち帰ったりしないでください」「島の自然を守るため、動植物を勝手に持ち出すことはできません」と案内しています。危険生物についても「ハブクラゲや毒針を出すアンボイナガイ(巻き貝)といった危険生物に注意して、触ったり近寄ったりしないようにしましょう」と明記しています。きれいな貝ほど危ないことがある、と覚えておいてください。
持ち帰りについては、環境省が国立公園のルールとして「動植物をとらないでください。石を持ち帰らないでください」と定めています。サンゴについても、環境省は「スノーケルやダイビングを楽しむ際には、フィンなどで貴重なサンゴを傷つけないように気を付けましょう」と呼びかけています。立てそうな浅瀬でも、そこがサンゴなら足をつかないのが原則です。ライフジャケットを着て浮いていれば、立つ必要はありません。

安全面では、竹富町観光協会がリーフの切れ目から外海へ強く流れるリーフカレントによる水難事故に注意を促しており、どのビーチでも起こりうるとしています。石垣市も「風が強いときは泳がない」「離岸流に注意」「酒を飲んで泳がない」を挙げています。潮の時間帯による海の変化は八重山の潮見表ガイドにまとめました。
生きもの・森|餌を与えない、島速度で走る
環境省の西表野生生物保護センターは、西表石垣国立公園でのマナーとして「野生動物に餌を与えることで行動様式が変化し、生態系のバランスが崩れる可能性があります」「本来は自然の中で暮らす野生動物が人に慣れ、人の生活圏に近づくことにより、交通事故や怪我などトラブルの原因となります」と説明しています。かわいいから、という理由での餌やりが事故につながる構図です。
運転についても、イリオモテヤマネコやカンムリワシなどの交通事故を防ぐため「島速度(時速40キロ以下)での運転」を求めています。あわせて「外来生物やペットを持ち込まない」「歩道から外れないように歩きましょう」も公式のマナーとして挙げられています。西表島でのレンタカー運転や滝ツアーの制度は西表島の立入ルールで詳しく解説しています。

写真とドローン|竹富町では届出が要る場合がある
意外と知られていないのが撮影のルールです。竹富町(竹富島・小浜島・黒島・西表島・波照間島など)で撮影する場合、次に当てはまるなら撮影日の2週間前までに撮影届出書の提出が必要だと公式に定められています。
ひとつは無人航空機等を使用した撮影で、個人のドローンや100グラム未満のトイドローンも含まれます。もうひとつは商業目的・営利目的の撮影で、映画やテレビ、CM、雑誌のほか、収益化された各種SNS(YouTube等)やウェディングフォトも対象と明記されています。提出先は竹富町商工観光課で、電子届出フォームから提出します。届出をしても撮影許可証等は発行されない仕組みです。
加えて竹富町は、各島の集落や竹富島全域、小浜島のシュガーロード・細崎海岸・海人公園、由布島全域などを「撮影をご遠慮いただいている場所」として一覧で公開しています。集落はドローン撮影が不可、それ以外の撮影も要相談という扱いです。理由は安全面・プライバシー・地域の意向・私有地とさまざまです。旅の記録を撮るだけなら届出は不要ですが、収益化しているアカウントに投稿する予定があるなら事前確認が必要と考えてください。
ここまでは竹富町(竹富島・小浜島・黒島・西表島・波照間島など)のルールです。石垣島での撮影の届出先は竹富町ではなく、石垣島フィルムオフィスだと竹富町の公式ページにも案内されています。同じ八重山でも窓口が分かれているので、どの島で撮るのかを先に確認してください。
ドローンを飛ばさない撮影でも、竹富町は「肖像権やプライバシーの侵害に十分配慮」するよう求めています。人が写り込む集落では、カメラを向ける前に一呼吸置くのが安全です。
現地で困られていること
石垣島のビーチを案内する現地ガイドの動画では、人気の撮影スポットで荷物を置いて大きく場所取りをしないこと、他の人が来たら互いに譲り合うことが呼びかけられています。また、そのビーチへ続く道は狭く、駐車するときは対向車がすれ違えるスペースを空けておくよう案内されています。集落や農道を抜ける細い道は八重山のあちこちにあり、路上駐車は生活道路をふさぎます。
環境省も、国立公園には人の生活の場が含まれるとして「農林漁業を妨げる行為や私有地への勝手な立ち入り、騒音など、その地域で生活する人が困るような行為はやめましょう」としています。
| 場面 | やってはいけないこと | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 集落 | 敷地に入る・のぞく/水着で歩く/騒ぐ | 竹富町・竹富町観光協会 |
| 御嶽・お墓 | 許可なく立ち入る | 竹富町観光協会・竹富町 |
| 海 | 生きものに触る・持ち帰る/フィンでサンゴを折る | 竹富町観光協会・環境省 |
| 生きもの・森 | 歩道から外れる/動植物を採る/餌を与える | 環境省 西表野生生物保護センター |
| 運転 | 時速40キロを超えて走る | 環境省 西表野生生物保護センター |
| 撮影 | ドローン・収益化SNS向け撮影を届出なしで行う | 竹富町(2週間前までに届出) |
| ゴミ | 島に置いていく | 竹富町・環境省 西表野生生物保護センター |
まとめ
八重山で守ることは、突き詰めると「私有地に入らない」「神聖な場所に入らない」「生きものに触らない・持ち帰らない」「ゴミを残さない」「ゆっくり走る」「届出が要る撮影を無断でしない」の6つです。竹富島憲章のように住民が決めたルールがあり、国立公園としての法的な規制もあり、撮影のように届出が必要な行為もあります。どれも難しいことではなく、知っていれば避けられるものばかりです。制度や届出の内容は変わることがあるため、ドローンや商業撮影を予定している場合は、出発前に竹富町の公式ページで最新の運用を確認してください。
参考・出典(公式サイト)
- 竹富島ゆがふ館(竹富島ビジターセンター) 竹富島憲章:https://taketomijima.jp/
- 竹富町 竹富町内での撮影について:https://www.town.taketomi.lg.jp/soshiki/shizenkanko/kanko/1647927802/
- 竹富町観光協会 島での心得:https://painusima.com/kokoroe/
- 環境省 国立公園の利用上のマナー:https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/about/manner/
- 環境省 西表野生生物保護センター 国立公園利用のマナー・注意:https://iwcc.jp/iriomotejima/utilization/
- 石垣市 安全にマリンレジャーを楽しむために:https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/kanko_bunka/tourist_information/marineleisure_safety.html
※ 各制度の運用や届出の要否は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください(最終確認:2026年9月)。
